12:あとがき

 私の過去を振り返ると、身に降りかかる良いことや悪いこと、出会った人、小さな出来事の全てに意味がありました。子どもの頃の病気や、家庭の崩壊、辛かったいじめでさえ、今の私を形作る重要なパーツです。もしもあれがなかったとしたら、平和なままで元気に育ち、そこそこの大学に進んでどこか会社に就職をして、という無難な道を歩んでいたかもしれません。

 私は、同級生が大学2年生のときにフリーター、3年生のときには会社員として「食べるために働く」ことを経験しました。皆が大学4年生のときには起業し、「自分のために働く」という楽しさを知り、やがてその虚しさも味わいました。それらは失敗でも遠回りでもなく、必ず通らなければならない人生のステージだったのだと思います。そこを乗り越えたからこそ、今ようやく「人のため、世のため」を考えられるステージに到達できました。どこか一つでも、ステージを飛ばすことはできませんでした。

 ですから、自分の生活がままならない人は、まずは「食べていくため」で良いと思います。食べられるようになれば、「もっと楽しいことがしたい」とか「好きなことをやろう」とか、自然と自分のことを考えられるようになります。その願望成就の道も、まずは心ゆくまで追求して構いません。お金儲けにチャレンジしても良いし、趣味を極めても良いでしょう。ただ、そこが最終的なゴールではなく、いつか「人のため」のステージに行くのだ、ということを忘れなければ大丈夫です。飽きがきてズドンと落ち込んだときに、「おや、次のステージが来たな」くらいに思っていただけたらなと思います。重要なことは、何をするかよりも、何をしていても楽しく、ダイナミックかつクレイジーにやりきることです。

 人の一生とは1つずつステージを上げて「本当の自分」を探していくための終わりなき旅なのではないでしょうか。私たちは、そのステージを登ろうとするたびに苦難に出会って、のたうち回ります。悶えながらも乗り越えて進もうとすることで精神性が鍛えられ、一歩ずつ本質に近づいてゆくように感じます。私も日々、前に進もうと足掻いています。そうして、人は過去の辛さの分だけ強くなれます。闇も引き連れて進んでゆけば、全ての出来事がきっと私たちを応援してくれることでしょう。

 最後に、あなたとあなたの周りの方々の幸福と心の平安を祈りつつ。知識を超越して、日常の中から「本当の自分」が体感されますように。

黒澤全

2016年2月22日公開
2017年7月16日加筆